dear nobody
【2025 菖蒲華】
あやめはなさく





↓ click please to next page↓
アシタハココカラ






2025.6.30


【フタリノセオリツ】
masculinity ★/☆ femininity


★「2020年のコロナのときさ?」
☆「うん」
★「四元素と五行の関係について、めっちゃ対応を考えていたでしょ?」
☆「うん。身体に起きていることはさ、五行の方がちゃんと対応している気がして。私は西洋占星術やタロットなんかで参照されている四元素の方が親しみがあったんで、これと、東洋、主に中国で使用されてきた五行、それと対応している薬効である漢方との対応を見ていたんだよね」
★「ついでに、方位とか、地区で飼ってた、方位と四元素対応の四神獣とか、5だからヲシテ文字の延長での『あいうえお』もね!全然うまくいってなかったけど笑」
☆「むー!あれは、むりくりやっても無理だったね!!笑」
★「ヲシテ文字は、なんで入れたんだっけ?」
☆「ヲシテ文字の、一音一文字を構成している母音の表現が、ちょうど仏教の五元素になってたから」
★「そうだそうだ!結局、空が分かり切ってない。空ってア行だっけ?」
☆「うん。ア行が『空』で丸っぽくて、イ行が『風』で風の外側のつくりみたいなやつで、ウ行が『火』で三角で火が燃える感じので、エ行が『水』で水の流れの蛇みたいなの、オ行が『地』で土、いわゆる正四角形」
★「ってことは、『空』はア行だし丸だしで、基本中の基本になるわけだけど」
☆「最近もいろいろ考えてて、仏教のある種の認識で言うところの、否定に否定を重ねたところにあるものとしての『空』ってのは、やっぱりちょっと納得いかなくてさ」
★「うん。何もない、っていうことじゃないよね、むしろある。でも見えない、みたいな」
☆「そうそう。先日、その空について、いわゆる日本で言う『間』みたいなものかなぁって思ってさ。時間という言葉にも空間という言葉にも、『間』ってつけてるじゃない?」
★「この間、水に力が伝わって波紋が見えるときに☆がしてた話さ、波に見える部分は輪っかの線で表されるけど、輪と輪の間の沈んでるところ、何もないように見えるところがなかったら、この輪の形も浮かんでこないんだよね、なんか、そういうの?」
☆「そうそう!それが『間』ってやつなんじゃないかなって。何かを『見える』ようにしているのは、実は『間』のようなものだっていうのかな」
★「だとしたら、そうじゃないもの、っていう作用だよね」
☆「うん。でもそれが、否定に否定を重ねると現れるもの、みたいなのは誤解じゃないのかなぁ。そこで示されている『そうじゃない』っていうのは、『間』自体が示す、★も言っている『作用』なんであって、『意味』じゃないんじゃないかなって」
★「言葉では言えないことっていうこと?」
☆「まぁそうなのかも。言葉にはどうしても『時間』というものが必要なので。『空』のエネルギーには空間しかないっていうのかなぁ。それでね、また歩いている最中に、その五元素目、実は多分、一元素目の『空』というのは、人間と自然の間にあるエネルギーだって言われたんだよね、里山のような人格に。他の地水火風もそれぞれに別のエネルギーだけれども、それと並ぶもので、日本には特に色濃く存在しているらしい」
★「だから日本人は、自然との間をあんまり強烈に区切らないのかな」
☆「和風建築とか、そうだよね。今少し出てきている、いわゆる各種の超能力と言われるようなものも、ここの『空』のエネルギーを使っているらしい。その基本エネルギーに、地水火風、それぞれのエネルギーをブレンドして、発揮されているっていうかね」
★「じゃあ、自然界からもらっているものってこと?」
☆「うーん、彼らがあくまで『自然と人間の間にある』って言ってるんで、両方で作用して生み出していると考える方が適切だろうけど、他の生物もそれぞれ同じようにその生物に適したそういうのを持ってるらしい。それを使って、自然に対して、適応とか対応するすべを認識したり実行したりしているというのか」
★「でも、それを対人間に使っている人もいるような」
☆「それがいちばんの悪手だって言われたよ。自分の種にそれを使おうとするのが最も悪手らしい。なぜなら、自分の種に使うと、強く働きすぎるから」
★「元々、自然対応のためのものだから?」
☆「うん多分。っていうか、人間同士は、他の生き物や自然よりも、通じやすいというか、他の生き物やなんかと話すとか、言いたいことを聞こうとするのって大変だよね?」
★「じゃあ、それ用に強くなっているってことなの?だから、同じ種にやると、通じすぎて強くなりすぎちゃうってこと?」
☆「うん。『通じる』っていうことの、ある方面の作用としてね」
★「そっかぁ、だから対人間じゃない方がいいのか」
☆「らしいです。それも、自然界全体で総量があるらしくって、今後の人間にどのくらい割り振るかを、改めて検討しているらしい。うまく使えてないから」
★「うひゃ」
☆「今は、なんか昆虫分のところを昆虫たちが解放してて人間が使えている部分があるらしくて」
★「昆虫用のを人間が使っているってこと?」
☆「人間に、ここんとこの作用を使って言いたいことがあるかららしいけども」
★「空海が言っていたような件で?」
☆「多分そう」
★「そっか。昆虫のことは★はよく分からないけど、☆はまだやるの?」
☆「どうかなぁ、必要があれば」
★「じゃあ、それはまたね!昆虫は水分が少ないから、★はよく分かんないんだ」
☆「私も向こうからのアクセスがないとよくは分からないけどもね、昆虫がその空のエネルギーの一部の領域を人間に提供しているってことは、ちょっと知っておいてた方がいいかもなとは思った」
★「それとさ!さっきやってたやつ」
☆「十二支縁起のやつ?」
★「うん。あれすごくいい感じだった。特にいわゆる十二支だけじゃなく、12星座と対応してみたやつ!」
☆「うん。なんかあまりに対応が見事なんで、笑ってしまったね!」
★「元々は、『生きること』と『知ること』に関する12段階のなにものかなんだろうけど」
☆「うんうん。今ググって調べてみたら、仏教用語で十二因縁、人間の苦しみ四苦八苦と、それを滅する方法を書いたものらしい」
★「四苦八苦ってそこから来てるの?あれって全部苦しみなの?あの用語を見て、生まれてから死ぬまでの知能の発達段階のようなものかと思ってた」
☆「あー、それを苦と考えるかどうかってことなのかなぁ。でも四苦八苦の四文字熟語の出元はここだと思うよ?」
★「無明/行/識/名色/六処/触/受/愛/取/有/生/老死、これで12」
☆「子/丑/寅/兎/辰/巳/午/未/申/酉/戌/亥、で十二支」
★「それに加えてさ、さっき、12だからって、12星座を対照してみたんだよね!これがよかったの」
☆「うん。牡羊座/牡牛座/双子座/蟹座/獅子座/乙女座/天秤座/蠍座/射手座/山羊座/水瓶座/魚座、これがホロスコープなんかで使うサインとしての12星座」
★「まず牡羊座、生まれたばっかで無知からスタート!」
☆「うんうん」
★「行為として立ち現れる結果が牡牛座」
☆「うん。これも実質を重んじる牡牛座っぽい」
★「双子座が認知だから、言語的だし」
☆「蟹座にあたる『名色』が色形、名称を司るっていうのも、蟹は甲羅があるから、輪郭をつかむってことになるんだよね」
★「辰が獅子座なのも、偉そうだから納得。五感と意識で、五感は西洋占星術的には牡牛座対応だけど、前に☆がやっていた六識ってやつで、五感の六番目を『意識』にしてたでしょ?これを含めると、ここら辺に来るのかなぁって」
☆「よく覚えてるね笑。それによって自信をもって世界を認識できるようになるって感覚なのかなって。獅子座は自信に関係あるみたいだから」
★「乙女座が蛇で『触』るっていうのも、すごい分かる。あんまり分かりたくないけど。分かる」
☆「なんていうのかな、乙女座って健康や医療を司る場所でもあるわけだけど、昔は触診だけだっただろうしね。蛇と女神が割と一緒に語られるのと関係あるかも?お母さんの撫でる手とかさ。それよりも、割とよく思うんだけど、蛇ってお腹だけで前進できるのすごくない!?私だったら、お腹の途中が横に転げちゃいそう」
★「はは、確かにね。きっとちゃんと均一に身体に力が入ってるんじゃないかな?確かに、うろこの力だけで進んでるよね」
☆「足を持たずに、お腹で直接、地面を触って」
★「そっか、そこもある意味、『触』るなんだね」
☆「うんうん」
★「『受』が馬で、天秤座なのも分かる。バランスをはかるのって、受け身じゃないとはかれない」
☆「そうなんだ?」
★「自意識によってそもそも人間って傾くとか偏るじゃない。だから、バランスを保つには相手に任せないとダメっていうか」
☆「そっかそっか。蠍座が『愛』なのは、めっちゃ納得」
★「ほんとにね。しかも愛への執着みたいなものだし。天秤座のある意味、反動だと思う」
☆「なるほど。次の射手座が『取』なのも納得~。学問にしろ旅行にしろ弓で射る行為にしろ、取りに行ってる感じする」
★「うんうん、射手座は思索とか哲学とかそういう深い探求のことも言うもんね。次の酉、山羊座が『有』で、ここで存在への意識が立ち上がる。あれ、☆は酉年で山羊座だね」
☆「そうでしたね笑。そして次の戌、水瓶座で『生まれる』。これさ、水瓶座って山羊座の社会性や野心を超えてすべての人のためにっていうような博愛精神と精神的自立を意味する星座でもあるんだけれども、東洋のというか、日本で言う『自分』とか『個の感覚』って、ここからがスタートなんじゃないかなーって」
★「博愛の『みんな』という感覚が前提となって『自分』というものが生まれるというような意味?」
☆「そうそう。ここまでは、生まれてからずっと、世界の経験を積む過程で、いろいろな角度から見て回って経験を積んだあとに『自分』になれるというのかな」
★「だから、西洋的な個の主体の感覚とズレてる感じがするんだね」
☆「うんうん、だから生まれてすぐ、主語で『I』を使って『自分』って宣言できるとは、日本人にはあんまり思えないんじゃないかってことね。日本人がそういう個の強硬な姿勢に対して、抵抗があるとか、過剰に謙虚になるとか、思わず引いちゃうのは、そういうことなんじゃないかなぁ」
★「それだと、生まれただけで意味があるよ、とか言っても受け入れられないよね」
☆「そうなっちゃうね。でも、そこは考えようで、生まれてから山羊座、水瓶座のあたりまで地球を体感して生きないと、そもそも生まれてきた意味がないというか」
★「そっか。そこまでは、まだ『自分』じゃない状態、つまり、足りない存在でいいんだっていうことでもあるんだもんね」
☆「自分に足りない、一人前ではないということを、まんま『苦』だとか考えなけりゃね!」
★「それで、最後の魚座でもう老いて、『老死』しちゃう笑」
☆「うん。でも、これは時間感覚を不自由に考えなければ、12星座と一緒で人生で何度回ってもいいサイクルなんで、足りてないと感じてるところ、学びたいところのためにもう一周でもよさそうだし」
★「確かに、本当に自分が満足できる自分でいる時間って、そんなに長くなくてもいい気がする。そうなってからの自分で大事にその時期を過ごせれば」
☆「うんうん」
★「どこかの天体と連動してるってことはないんだよね?」
☆「それは分かんない!」
★「西洋の自分と東洋の自分がズレてるっていうのは、ずっと感じてきたけど、それは主に西洋的な教育を日本で施すときに『お前はできてない』って言われてしまう感覚においてね。でもこういうサイクルになっているって分かったら、なんか、単に考え方の違いでいいんだな、そこ他人から『できてない』って言われなくていいんだなって思えるな。だってこの十二支縁起って、自分でやるものじゃない?」
☆「うんうん。だから、それを全部まんま『苦』とか苦行にしなくていいんじゃないか、世界に対する認識とか経験でいいんじゃないかってことだし、だって、この地球対応の感覚を上手にできなかったら、むしろそっちの方が苦しいんだもん」
★「この十二支縁起は、地球での苦しみをなくすために、という12段階でもあるみたいだけど、地球から提示されている経験の種類を、そのまま『苦』だって考える必要はやっぱりない気がする。『できない』ってことに対する意識が、日本人はっていうか地球人は厳しすぎるというか、強すぎるんだよ。だから地球が、刑務所とか囚人の星とかって言われちゃう」
☆「地球が難度の高い環境なのは確かだと思うけれども、それは宇宙における、これも役割なんであって、同時に他の星や文明に対して安易に口を出さない、逆に安易に彼らを利用しないためであって、自分たちのところのことをちゃんとできないのに、他と協力できるわけがないんだよね。高次な意識ほど、安易な助けの手なんか出してこないよ?別環境からそれをやられても、かえって地球にダメージが残るだけかもしれない」
★「かつて、地球の人間、というよりも今現在、地球に多くやってきている魂たちが、かつて他の星や文明に対して、そのようにしまったようにね?だからもしそのように名乗る存在がいたら、自分の能力を過去生の時点での能力かなんかと勘違いして過大評価しているか、なりすましじゃないかな」
☆「私もそう思う」
★「じっくりのんびり、十二支縁起をやるわけだよ。今日も明日も明後日も」
☆「笑笑。それでいいね、丁寧に自分を育てる。西洋占星術で言う水瓶座の意識に到達するまで」
★「そういえば、今の風の時代って、もしかして水瓶座の時代じゃなかった?」
☆「あ、そうだね、冥王星が水瓶座。太陽系で重要視されなくなっていく冥王星の最後の置き土産的に?こいつらというかこの星の重さというのか、暗黒の感覚は半端なくて、地獄や冥途の感覚、厳しかったー」
★「土星の厳しさに輪をかけた印象だよね。すでに確か基本の惑星じゃないんじゃなかったっけ。しかも今確か逆行期間」
☆「うん。準惑星ってのがどのくらいの数あるのか知らんけど、準惑星という認定になったみたいだね。逆行は今年の5月に始まってて、10月半ばまでだって。そこから20年くらい水瓶座にいるから、この期間で、和的な『個』の意識がいろいろ模索されて、西洋的なのとは別の感覚で定着していくかもしれないね!」
★「楽しみ」
☆「うんうん」




2025.6.29 second


【ミンタカごっこ】
pieces of the grief


∵「ごっこ?」
∴「うん。僕は、ミンタカについて本当に信じているかと言われれば分からないんだけれど、あなたのことを考えるときに、そのミンタカでの説明が、なんかとても分かるというか覚えているような感じがあって。だからね、やってみよう?ミンタカごっこ」
∵「何をすればいいの?」
∴「ミンタカでのことをつらつら話して?僕が感想を言うっていうか、何か言う」
∵「うん」
∴「僕たちが地球に来たばかりのときにひどい目にあった件ね、その理由がミンタカにある気がして」
∵「そっか」
∴「主に、僕にね」
∵「ん?」
∴「うん。だからね、話して?」
∵「うん」




2025.6.29



カイと書くところをヨルって
書いちゃってました!!ので
直しました(20250629 3:23, 20:59)

【ヨルとイオ】後編
pieces of the puzzle


イオは、カイが7歳のときに、義理のお母さんから受けていた性被害の話を聞きながら、だいぶ長いこと、カイの背中に回した手を、とん、とん、としながら、黙っていました。
カイがようやく、気がすんだらしく、身体を少し離してイオの目を見たときに、イオはかつて、リウのマネージャーに就任した日にリウの経験談に促されるようにして話した、7歳のときの性被害のことについて、カイはリウから簡単に聞いて知ってはいたようだったけれども、
「その話さ、もう一度、聞いてもらってもいい?」
と言いました。
カイは、ただ頷いてくれました。
「これさ、この件と関係あるかは分からなくて。リウのときにも話さなかったんだけど、考えてみたら時期的に続いているし、話したいから話す」
「うん」
「小学校2年の終わりだったかな、いつものように当時の親友というのか、よく彼女の家にも遊びに行っていた子と学校から帰ってきてて、なんだかくだらないことで口げんかになって。当時の私は今からじゃ考えられないほどおとなしくて、あんまり怒らなかったんだけども」
「うん」
「小さな角地にある駐車場でけんかになって、そしたら、彼女がいきなり。これね、いきなりだよ?『あんたなんか、お父さんだっていないじゃない!』って言ったの。彼女とは、2歳で離婚して家からいなくなったうちの父親のことなんて、いっさい話したことなかったのに」
「それは、割とひどい話題の持ち出し方だね」
とカイは、あまり深刻にならないようにという配慮なのか、少し笑いがこもるように言いました。
「それで、あんまりびっくりしたというか、ああ、彼女は私には言わなかったけど、私のことをずっとこんなふうに思っていたんだなって。彼女には自慢の、建築設計士のお父さんがいたからかもしれないけどもね」
「潜在的に、比較してるのがバレバレなの分かっちゃったね」
「もうほんと頭に来て、言葉も出なくて、その場で背負っていた深紅のランドセルを地面にたたきつけて帰ったの」
「え?」
「だから!ランドセル!!たたきつけて帰った!!!」
「うは、そこで現在のイオさんの萌芽が」
カイはそう言うと爆笑して、それを聞いたら、イオも爆笑してしまいました。
「あとで、そのランドセル持って、彼女がお母さんと謝りに来たけど」
「うん」
「もう口をきいてやらない、と思ってた」
「そっか」
「それでね、次の学年が始まる前だったか忘れちゃったけど、また彼女の家に遊びに行くことになって」
「うん」
「その途中の、壁のない屋根付きの、とても大きな駐車場の横を歩いているときに、いきなり、ほんの少しだけ顔見知りのお兄さんが出てきて、私が持っていた、手に収まるくらいの大好きなキャラクターのお人形をとりあげたのね」
「うん」
「言うことを聞かないと、これ返してやらないぞって」
「うん」
「それで私がそのまま黙ってたら、塀の上にそのお人形を置いちゃってね。私がどんなにジャンプしても手が届きそうにないくらいの高さで。確か、ジャンプしたけど届かなかった」
「うん」
「そしたら、その人が、こっちにこいって言って」
「うん」
「車の陰に一緒にしゃがんで」
「うん、大丈夫だけど、無理しないでね?」
「うん」
「うんうん」
そこでイオは、リウのときみたいに、スラスラその内容を言えない自分に気がつきました。どうしてなのかはよく分かりませんでした。
「そのときに思っていたのは、なんでこの人は私にこういうことをしたいんだろうかってことだった」
とイオはその気持ちが治まってからそう言いました。本当に、あのときにいちばん思っていたのは、そのことだったからです。
「うん?暴力的じゃなかったってこと?痛くなかったの?」
「うん」
「あの、聞きにくいんだけど、主にその」
「うん、言うこと聞けってぶたれたとか無理やり服を脱がされたとかじゃなくて、なんていうのか、主に淡々と触られてたってこと」
「うん、そう、それが聞きたかった」
「キスも」
「そうなんだ、え?あなた7歳だよね、相手は?」
「うーん、3歳くらい上?」
「ってことはまだ小学生だよね?」
「じゃないかな?」
「顔見知りだったって?」
「うーん、多分近所で、知っている顔というくらいで」
「好き嫌いの感情としては?」
「うーん、そこがだからね、全然分からないっていうの?私が嫌がることがしたいのか、そうじゃないのか。だからね、どうしてこうなるのかってことが分からなかった。何がしたいのか分からないってそういうことね。そういうこと全然知らなかったから、驚いてて泣いてたし」
「でも逃げなかったの?ごめん、逃げなかったのが悪いって思っているわけじゃなくて」
「怖くて動けなかったっていうのがほとんどの時間。でもねカイ、こう言うともしかすると私を軽蔑するかもしれなくて、嫌いにもなるかもしれないんだけれど」
「ならないです」
「分からないよ」
「ならない。だから言ってみ」
「うん」
イオは、それでもまだ、カイの出す結論は分からないなと思いながら、覚悟して言いました。
「私さ、これ自己弁護みたいで恥ずかしいけれども、本当に家族からほぼネグレクトの状態で、横に寝てたおばあちゃんにも背中向けられていた過去があって、こんなに人が自分に興味を持って近くにずっといるってことがなかったから、多分そのせいもあるんだと思うんだけど」
「自己弁護でもなんでも、自分がそうしたいと思うことはした方がいいよ。この経験は、あなたしかしていないんだから。目の前の彼とさえ同じ経験じゃない。だから、今この今ね、あなたという自分を守れるのはあなたしかいないの。だから、話すのも話さないのも、その判断も自分にしかできないし、僕もその点では完全な味方にはなれない。それは世界中の誰もなれないの。そのうえで、話したいなら話して?」
「うん。なんか、異常なくらいに安心しちゃったの」
「それは、触られてて?」
「うん、そうだな、うん、その人に対してじゃなくてね。そう、その、触られてて。でね、そしたら、相手の人、びっくりしちゃったみたいで、だからそこでびっくりするってことは、やっぱり暴力をふるっているつもりだったのかな?そこでね、その人、逃げちゃったの」
「逃げちゃった?」
「うん」
「それは、、」
「だからね、性的なことで言うと、明らかにどう考えてもその行動は、最初から最後まで、女性器が対象だという点で性加害に該当するんだと思うんだけど、その人が何がしたかったのかとか、なんで私だったのかとか、つまり最初の動機のようなものとか、結局逃げたのはなぜかとか、分からないことがいっぱいあって」
「うん。っていうかさ、イオさん、冷静だったんだね」
「え?」
「もうちょっと冷静じゃなかったら、泣きわめくとか助けてって言うとかさ、いや、そうしなくて悪かったって言いたいんじゃないんだけど、その頃にすでにイオ節炸裂してるなと思って」
「イオ節って」
「カツオ節みたいだよね」
「なにぃ?」
「いや、ごめんちょっと、普通あんまりそういうところでその歳くらいの女の子って」
イオは、じろっとカイを見ました。
「なんでもないです。それでそのことはそのあと誰かに言ったの?」
「お人形が大事だったから、着られるところの服を着て、塀の上にあったお人形に何度も何度もジャンプして、やっととれて、またなんか泣けてきて、泣きながら家に帰ったの」
「うん」
「そしたら、おばあちゃんはすごく忙しそうで、相手をしてくれなくて、4歳のときと同じように『自分の方が大変!』って感じで、それでね、なんか涙も乾いちゃって」
「あらら」
「そのあと、母親には言った方がいいかなって、その日は家でピアノのレッスンしてたから、終わるまで待っていたら、数時間後だったせいもあって、もう、言う気がなくなっちゃって。母親も『お仕事忙しいの』って感じだったし」
「で?」
「そのまま、リウに話すまで誰にも言ったことなかった」
「誰にも?誰にも?」
「多分、日記にすら書いたことない」
「そうなんだ。記憶を抑圧しちゃったのかな」
「うーん、当時、その安心を思い出したくて、自分でいじったりしてた頃があって」
「気持ちいいというより?」
「うん。なんだろ、低年齢だったから快感ってのはまだあんまりなくて。安心目当て。でも、相手の人のことを思い出していたわけじゃなくて、ただ手というものがそこに触ると、自分を安心させてくれるんだってこと」
「ちょっとさ、それ安心たりなすぎだよ。頼るのそこじゃない。安心で頼るのって、そもそも自分じゃない。リウも、それ義理のお姉さんからやられて、お母さんに安心を求めて拒絶されちゃったらしいけど、いずれにしろ、安心で頼った方がいいのは自分じゃないんだよ」
カイは、ちょっとムッとしたように言いました。
「リウのその話、カイも聞いてたんだね」
「イオさんに話せたののだいぶあとだったみたいだよ?なんか、ふとしたときにね。楽になったらしくてさ」
「そうなんだ」
「安心ってさ、一人じゃ作れないんだなって、本当に思うことが多くなった」
「そっか。うん、それでね、だからね、大事な人にじゃないと、やっちゃいけないことだったんじゃないかなって今は思うの。大事な人以外の人を、責任も持てないのに、言うなれば裏技っていうか、そんなまるで触る麻薬みたいな方法で、安心させちゃダメじゃない?」
「うん。依存性ありそうに思うし」
「うんうん。なんかね、あのときもしかするとそのことに、その人も気がついたのかもしれないよね。私が全く想定外にとろんって安心しちゃったりしたから」
「イオさんが悪いんじゃないでしょ」
「そうなんだけど、驚いて逃げちゃったのもそれなんじゃないかなって。これはしちゃいけないことしたかもって」
「性加害というよりもね、もしかするともっと別の意味で、もっとしちゃいけないことだったっていうのか」
「うん」
「言えた」
「ん?」
「最初、言えなくなるのかと思ったけど、リウに話したのと違うことまで言えた」
イオは、それでまた可笑しくなりました。話すって、魔法みたい。
「スッキリした?」
「うん。ありがとう」
「いいえ、僕のも聞いてくれて、というよりも抱きとめてくれて、ありがとう」
「ううん」
「ちょっと、自分じゃない感じで心配だけど」
「ん?話したことが?」
「ううん、話したこともそうなんだけど、どっちかというと聞いたことが。人とは、話、するのも聞くのも苦手なんだよね」
「刑事さんなのに?」
「警護してるだけだから」
「そっか」
「安心」
「うん?」
「安心。できるといいね。リウも、あなたのこと、過緊張だって言ってたから」
「もう」
イオはちょっとむくれました。カイに話してるのか、そういうことも。
「多少、のろけ話を聞いていただけだよ」
イオの頭の中を想像したのか、カイはまるでそれに返事をするように、そう言って笑いました。




2025.6.28




だいぶ赤色の三日月さん。